吟醸酒ができるまでPROCESS

  • 精米

    酒米は「山田錦」「しずく媛」「松山三井」の3種類。いずれも県内産の品質の良いものを厳選し、丁寧に磨いています。精米した米は状態を落ち着かせるため、蔵内の涼しい場所で2~3週間ほど寝かします。この工程を「枯らし」と言います。

  • 洗米・浸漬しんせき

    洗米に使う水も、浸漬に使う水も同じ地下水ですが、どちらも水温を9度に保つことが重要。洗米用の水は大量に使うため、3,000Lのタンクに入れ、冷水機で水温調整しています。浸漬用の水は半切りに入れた地下水に手作業で氷を投入して水温調整。その後「限定吸水」(米が吸う水の量を制限すること)しています。

  • 蒸米じょうまい・放冷

    蒸し米のできが麹(こうじ)の品質に大きく影響するため、水分量に細心の注意を払いながら、「外硬内軟」の状態を目指します。米は100度の蒸気で蒸した後、約半日かけて手作業でゆっくり冷ましていきます。このとき使うのは竹製の簀(す)の子と麻布。蒸し米の下に敷くことで、水分を適度に吸収してくれます。

    ※外硬内軟(がいこうないなん)
    米の外側は硬く、内側は軟らかい状態で、蒸し米の理想の形
  • 製麹せいぎくこうじ作り)

    蒸し米に麹菌をふりかけて麹を作ります。麹の温度は最終的に43~45度まで上げていきますが、一気に上げると質が落ちるため少しずつ上げていきます。麹を手でかき混ぜるのは、全体の温度を均一に保つため。作業は丸2日に及びますが、この間、蔵人は昼夜を問わず2時間おきに麹の様子を確認します。

  • 酒母しゅぼ造り(もと造り)

    酒母とは、大量の米をスムーズに発酵させるために必要となる酵母を増殖させたもので、カレーで例えるなら「ルー」になります。タンクの中に蒸し米、麹、仕込み水、酵母を入れて造りますが、タンク内の温度を保つためにタンクの下に行火(あんか)を設置し、さらに暖気樽(だきだる)という道具で温度調整します。

  • もろみ造り・仕込み

    酒母をタンクに入れ、麹、蒸し米、水を加えて1ヵ月ほど発酵させると日本酒の元となる醪ができます。醪の中では、蒸し米が分解されてできたグルコースを、酵母がエサにすることでアルコールの生成(発酵)が進みます。その際、低温を保つと酵母の働きが抑えられ、グルコースが残ることで酒に吟醸香や旨味が出ます。

    ※吟醸香
    醪を低温でゆっくりと発酵させる吟醸造りの酒に出る、果実のような香り
  • 上槽じょうそうしぼり)

    醪を搾って、日本酒と酒粕に分けることを「上槽」と言います。搾り方やタイミングによって日本酒の味が変わってきます。本醸造酒は圧をかけて1日で絞りますが、吟醸酒はあまり圧をかけず、1日半~2日かけてゆっくり搾ります。こうすることで醪の中の吟醸香や旨味などの良いところを、余すことなく搾り出せます。

  • 濾過ろか・調合(加水)・貯蔵(熟成)

    上槽直後の酒を濾過して滓(おり)などを取り除き、調合して味や香り、アルコール度数などを整えます。酒は寝かせることでアルコールと水が融合し、まろやかさが出るので1~2週間、生の状態で貯蔵します。なお貯蔵せずにすぐに出荷する酒のことを「新酒」と言い、しぼりたてのフレッシュな味わいが楽しめます。

  • 瓶詰め・瓶燗びんかん

    酒を瓶に詰めた後、瓶燗火入れをして殺菌し、味や香りを安定させます。また一度も火入れしない酒は「生酒」と言い、「風の里 特別純米にごり酒」がこれに当たります。なお貯蔵前に最初の火入れをする酒蔵もありますが、「風の里」は風味を残すため生のまま貯蔵し、火入れは出荷前のみ。これを「生貯蔵酒」と言います。

    ※火入れ
    搾った酒を加熱処理すること
  • 出荷

    完成した酒の瓶にラベルを貼り、全国各地の酒店や飲食店などに出荷します。なお、春にできた酒を夏の間貯蔵して熟成させ、秋に出荷する酒を「ひやおろし」「秋あがり」などと呼びます。